今世紀に入り北米、オーストラリア、南米、アフリカソマリ等で大規模かつ深刻な渇水被害が発生しており、中東・アフリカで人貧困・難民増加の原因となる等、国際的に極めて重大な課題。
国内においても、過去50年間で8回の大渇水を経験しており、近年では2016、2017年に首都圏では少雨による深刻なダム貯水量の減少が発生している。
我が国でも地球温暖化による融雪の減少等の影響を踏まえた「水資源の安定利用」や食糧の安定確保等の面から、渇水対策は重要。
2015年8月社会資本整備審議会河川分科会「水災害分野における気候変動適応策のあり方」についての答申で次が述べられている。
・地球温暖化に伴う気候変動により渇水が頻発化、長期化、深刻化し、さらなる渇水被害が発生することが懸念されている。(39頁)
・関係者が連携して、渇水の初期から徐々に深刻化していく状況とそれに応じた影響被害の想定や、渇水による被害を軽減するための対策などを定める渇水対応タイムライン(時系列の行動計画)を作成するべきである。(40頁)
・気候変動による水資源への影響や社会への影響を含めた渇水リスクについて調査・研究を推進するべきである。(43頁)
以上の背景を踏まえ、渇水対策に関する研究を進め、政府が進める「質の高いインフラ輸出」を支援する必要がある。
本研究では、これまでに開発・高度化されつつあるリモートセンシング、気象・水文モデル等様々な技術を活用し、渇水予測技術の開発及び渇水被害の影響評価、回避・軽減方策の提案を行い、社会の安定した水利用の実現を目的とする。
令和元年度~3年度
上席研究員 | 伊藤 弘之 |
主任研究員 | Abdul Wahid Mohamed Rasmy、菊森 佳幹、望月 貴文 |
専門研究員 | 牛山 朋來、筒井 浩行、玉川 勝徳、Ralph Allen Acierto |