ユネスコ主催の国際会議で研究発表やサイドイベントを実施

 ユネスコ主催の元、国際会議「Climate Risk, Vulnerability and Resilience Building」がユネスコ本部（フランス・パリ）で、4月19日～21日に開催されました（オンライン併用）。世界各地から気候変動に関する専門家が集まるこの機をとらえ、ICHARMはサイドイベント「Cross-cutting Research on Hydrological Systems, Rivers, Climate Risk and Water-Food-Energy Nexus」を19日の13:00-14:30に開催しました。

 また、小池俊雄センター長が19日の“Science-Policy Discussion Panel: Bridging the gap between science and the different scales of decision making for climate risk management”のパネルセッションに参加し、知の統合システム等についてスピーチを行いました。さらに、19日午後の”Technical session 3: State of the art: Tools for flood monitoring - Part 1”にて柿沼太貴研究員が「Development of a real-time flash flood prediction system using data assimilation for small and medium-sized rivers」のタイトルで、および20日の午後の“Technical session 1: Innovative participatory approaches, tools and methodologies supporting citizen science”にて宮本守主任研究員が「Development of Integrated System and Multi-layered Governance for Flood Resilience Enhancement」タイトルでそれぞれ発表を行いました。

 本会議において、世界各国における最先端の研究開発について意見交換し、現在の国際的科学技術の趨勢や求められている技術についても知ることが出来ました。特にその中でも人工衛星によるリモートセンシング技術に関する顕著な開発技術が見受けられ、今後のICHARMにおける研究活動においても非常に有用となる知見を得ることが出来ました。

＜サイドイベント開催報告＞
 世界各地から気候変動に関する専門家が集まるこの機をとらえ、ICHARMはサイドイベント「Cross-cutting Research on Hydrological Systems, Rivers, Climate Risk and Water-Food-Energy Nexus」を開催しました。以下はその開催報告です。

 頻発する世界の水問題に関し、近年以下のような各種宣言等が出されています。

• ボン宣言（2021年7月　SDGs６におけるハイレベル閣僚会議）
• 熊本宣言および議長声明（2022年4月　アジア太平洋水サミット）
• 国連水会議（2023年3月）のテーマ“Water for Climate, Resilience and Environment”における共同議長宣言

 これらの機運を実現するためには、分野横断的な融和を図り、最先端の科学技術と個々の行動を結びつけ、それを牽引する人材を育成する必要があります。そこで、本サイドイベントではUNESCO IHP-IX（第9期ユネスコ政府間水文計画（2022-2029））の枠組みのもとで、それらをどのように実現させるか、ユネスコカテゴリー２センター（以下C2Cと表記）の代表者が参加し、戦略と計画を議論しました。なお、ICHARMの小池センター長は、UNESCO IHP-IXの履行枠組みに規定されている3つの横断的テーマワーキンググループのうちの一つ、「Hydrological systems, rivers, climate risk and water-food-energy nexus」の議長でもあります。

 サイドイベント冒頭、小池センター長から趣旨説明を行い、次いで3月24日の国連水会議にて国際連合総会議長チャバ・コロシ氏が行った議長声明の映像を確認した後、以下の5名のC2Cの代表がそれぞれのテーマで発表を行いました。

	1.	Toshio Koike, ICHARM: Scientific research and innovation
	2.	Eddy Moors, IHE Delft: Water Education in the Fourth Industrial Revolution including Sustainability
	3.	3. Luna Bharati, International Centre for Water Resources and Global Change （ICWRGC）, Bridging the data-knowledge gap
	4.	Will Logan, International Center on Integrated Water Resources Management （ICIWaRM）: Integrated water resources management under conditions of global change
	5.	John Rowan, Centre for Water Law, Policy & Science (CWLPS): Water Governance based on science for mitigation, adaptation, and resilience

 発表後、ユネスコ水科学部Abou Amani部長の司会のもと、参加者で議論を行い、上記５つのC2Cの協力により、水を通した分野横断的・統合的な多国間協力の推進を目指し、アフリカを対象とした共同研究を実施することで合意しました。