インドネシアにおける水のレジリエンスと
災害プラットフォームに関する第2回ハイレベル会合

 世界的に蔓延したCOVID-19からようやく世界が平常に戻りつつある中、インドネシアにおける国際洪水イニシアティブ(IFI)の活動が再び動き出し、インドネシアにおける水のレジリエンスと災害プラットフォームに関する第2回ハイレベル会合が2024年4月22日にオンラインで開催されました。会合には、公共事業・国民住宅省(PUPR)、国家防災庁(BNPB)、気象気候地球物理庁(BMKG)、環境森林省(KLHK)、農業省(MoA)、国家開発企画庁(BAPPENAS)などのインドネシアのパートナー組織や流域レベルの組織であるソロ川流域管理事務所(BBWS)の代表者を含む30名以上が参加しました。会合の主な目的は、(1)インドネシアにおける過去のIFIの活動の振り返り、(2)ソロ川流域における最近の活動と解決すべき課題の共有、(3)ソロ川流域におけるICHARMの研究結果の報告、(4)パイロットプロジェクトの設計を含む協力活動と履行計画についての議論でした。

 会合の冒頭、PUPRのMuhammad Rizal水資源工学開発部長、BNPBのZaenal Arifin災害管理戦略開発部長、BMKGのUrip Haryoko気候学副主席技師、KLHKのCatur Basuki Setyawan流域管理副部長、MoAのHaris Syahbuddin農業機器標準化庁事務総長、BAPPENASのPriyanto Rohmattullah環境部長、国土交通省水管理・国土保全局の小浪尊宏国際室長、国際協力機構(JICA)の土屋匠地球環境部防災第一チーム課長補佐が開会の挨拶を行いました。挨拶の後、ICHARMの栗林大輔上席研究員がインドネシアにおけるこれまでのIFIの活動について簡単に紹介しました。

 プレゼンテーションセッションでは、PUPRの山本浩之JICA専門家が、日本における治水対策の基本的なコンセプトや洪水管理の実践について紹介しました。BAPPENASのPriyanto Rohmattullah氏は、インドネシアにおける気候変動の緩和と適応の取り組みについて説明しました。続いて、PUPRのMuhammad Rizal氏、BNPBのBerton Suar Pelita Panjaitan減災部長、BMKGのEcha Rezza気候学副局長、KLHKのCatur Basuki Setyawan氏、MoAのHaris Syahbuddin氏、ソロ川流域管理事務所(BBWS)のAli Rahmat統合水資源インフラ開発部長などのインドネシアの参加団体の代表者が、ソロ川流域を中心とした活動や課題について発表しました。

 続いて、ICHARMの研究者がソロ川流域プロジェクトにおける研究活動や成果を紹介しました。牛山朋來主任研究員は、気候変動による月降水量と極端降水量の将来予測について説明しました。モハメド・ラスミー主任研究員は、WEB-RRIモデルを用いたシームレスなモデリング手法を紹介し、気候変動シナリオ下における洪水流量、氾濫量、根茎層土壌水分量の将来的な変化について推定を行いました。Badri Shrestha専門研究員は、気候・社会変動下における洪水被害評価の定量的アプローチとソロ川流域に関する分析結果について、稲作、住宅、家財の洪水被害に焦点を当てて発表しました。宮本守主任研究員は、共同研究活動の事例として、フィリピンとタイにおけるIFI活動について、知の統合オンラインシステム(OSS-SR)のコンセプトやファシリテーター、OSS-SRを用いた洪水予警報システムの開発などを発表しました。最後に栗林上席研究員は、インドネシアにおけるIFI活動の協調的な枠組みを提案し、自然現象のデータ収集、評価、予測から社会経済的影響評価まで、プロジェクトの全プロセスを網羅する統合的なアプローチであるEnd-to-Endのアプローチを強調しました。また、中核となるパートナー組織に期待される役割についても説明しました。

 ディスカッションセッションでは、小池俊雄センター長が司会を務め、気候変動の緩和と適応戦略、省庁間の協力枠組み、協力パートナーによるインドネシアでの統合活動の発展の進捗状況を強調しました。End-to-Endのアプローチを用いた協力枠組みに基づき、センター長はインドネシアにおけるIFIの協力活動として、i)ソロ川流域における気候変動の影響評価と適応計画、ii)第一段階としてのパイロットプロジェクト「ソロ川流域における万人のための予警報」の2つを紹介しました。議論の最後に、参加者は、会合でインドネシアの組織から提供されたインプットに基づいた統合履行計画の草案を作成することに合意しました。この草案はICHARMが作成し、インドネシアのIFIのパートナー組織間で共有され、確認された後、履行計画が実行される予定です。インドネシアの各団体からの議論やインプットは、IFIインドネシアプロジェクトの協働活動を含む統合履行計画の策定に役立つことでしょう。

2回ハイレベル会合の参加者
2回ハイレベル会合の参加者