2024年11月19日から22日にかけて、台風委員会(TC)の第 19回統合部会(IWS)が、中国・上海のLin-gang Centerで開催されました。台風委員会の中には気象部会(WGM)、水文部会(WGH)、防災部会(WGDRR)、トレーニング・研究連絡部会(TRCG)の4つの作業部会がありますが、今回はそのうち3つの部会(気象、水文、防災)が一堂に会し、各部会の年間実行計画(AOP)の進捗や来年度の計画などについて報告がなされ、台風委員会全体で議論されました。
会議には14のメンバー国・地域のうち11か国(中国、香港、マカオ、日本、ラオス、マレーシア、フィリピン、韓国、タイ、ベトナム、アメリカ)と世界気象機関(WMO)、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)、台風委員会事務局(TCS)から総勢約160人が参加しました。日本からは、国土交通省水管理・国土保全局、気象庁、国際建設技術協会、東北大学の小野裕一教授、京都大学の伊藤耕介准教授およびICHARMから水文部会議長を務める宮本守主任研究員と武川晋也研究員の2名が参加しました。
会議初日には、台風委員会事務局長等の開会挨拶の後、アジア太平洋台風共同研究センター(AP-TCRC)Forumが開催され、日本からは3名が基調講演を行いました。ICHARMからは宮本主任研究員が「An Operational Flood Forecasting System with Improved Accuracy using Data Assimilation」と題する発表を行い、解析結果の信頼性評価に関する質問が寄せられるなど、注目を集めました。
会議2日目には、「Strengthening the Value Chain within the UN EW4All Framework for the Typhoon Committee Region.」のテーマに沿って、技術発表が行われました。日本からは国土交通省水管理・国土保全局の丸山和基国際河川技術調整官の発表を含む2件のプレゼンテーションが行われ、いずれも参加者から高い関心が寄せられました。
会議3日目には、気象、水文、防災の各部会の会議が開かれました。水文部会では、10月の南京での会議を欠席した香港とベトナムから、2024年の台風による被害状況や対応策についての報告がありました。また、日本とアメリカの共催で、2025年にグアムにて開催される第14回水文部会に関する議論、第3期標準作業手順の共同策定事業(SSOP)の進捗報告等が行われるとともに、9つの年間実行計画の今年度の実績報告や来年度の計画が議論されました。最終日には、各部会の会議と全体会議が実施され、宮本主任研究員が水文部会の取組を総括し、全体セッションで報告しました。
会議全体を通して、ICHARM、土木研究所そして国交省の国際的なプレゼンスを大いに示すとともに、台風委員会のメンバー間の国際的な連携や技術交流を強化し、特に水文に関して日本がリードすることが出来ました。ICHARMは、台風委員会などの国際的枠組みを通して、水災害リスク軽減やレジリエンス強化のための地域間協力を引き続き主導していく予定です。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |