国内外高官らに対する土研実験施設見学およびICHARM研究紹介の実施

 2026年7月27日、国土交通省水管理・国土保全局河川計画課国際室からの要請の下、国内外の高官5名による土木研究所訪問を受け、実験施設見学とICHARM研究紹介を行いました。参加された高官は以下の通りです。

  • ハニー・スウェイラム エジプト・アラブ共和国 水資源・灌漑大臣
    (H.E. Professor Hani Sewilam, Minister of Water Resources and Irrigation, Arab Republic of Egypt)
  • 上川陽子 2026国連水会議総理特使/衆議院議員/元外務大臣
  • アブドゥラ・バララ アラブ首長国連邦 外務副大臣(エネルギー・持続可能性担当)
    (H.E. Abdulla Ahmed Balalaa, Assistant Minister of Foreign Affairs for Energy and Sustainability at the UAE Ministry of Foreign Affairs)
  • ペマ・ギャムツォ 国際総合山岳開発センター(ICIMOD)事務局長
    (Dr. Pema Gyamtsho, Derector General, International Centre for Integrated Mountain Development (ICIMOD))
  • ラギー・エルエトレビー エジプト・アラブ共和国 駐日特命全権大使
  • (Mr. Ragui ElEtreby, Ambassador of the Arab Republic of Egypt to Japan)
水理実験施設の見学の様子

 まず、水理実験施設の見学を行い、河道保全研究グループの水草浩一上席研究員より、日本のダム整備状況と大戸川ダム模型実験の説明を受けました。

 次いで、ICHARM講堂にて、藤田理事長も参加し、栗林ICHARM上席研究員の司会の下、研究紹介セッションを開始しました。板垣グループ長からICHARMの概要を紹介した後、以下の3名の研究者・学生から研究紹介を行いました。

筒井浩行(ICHARM専門研究員)
筒井 浩行
ICHARM専門研究員

 筒井浩行(ICHARM専門研究員)からは、「農業干ばつ評価(Agricultural drought assessment)」と題し、以下の内容を紹介しました。

  • 衛星リモートセンシングとデータ同化技術を活用した農業干ばつ評価手法を紹介。CLVDASにより根域土壌水分や植生水分量(Green Water)を推定し、アフリカ、特に南スーダンの農業生産への影響分析結果を紹介。
  • 植生水分量と作物収量の関係モデルを構築し、トウモロコシとソルガムの収量を推定した結果、洪水や干ばつによる作物被害の違いを把握できることを示した。
  • 気候変動による水循環の変化に対応し、農業生産を維持・向上するための水インフラ検討の重要性を提唱。
Ms. Ranapura Dewage Thilini Kausyalya
Ms. Ranapura Dewage Thilini Kausyalya

 Ms. Ranapura Dewage Thilini Kausyalya(Sri Lanka)(ドクターコース学生、スリランカ灌漑局(Irrigation Department))からは、「水と貧困(Water and Poverty)」と題し、以下の内容を紹介しました。

  • 水の不安定性が貧困の重要な要因であることをスリランカの事例から説明。
  • 豊富な降雨がある一方で、地域・季節による偏在により洪水や干ばつが発生し、農村部の生活や農業に深刻な影響を与えている。
  • また、水質汚染による健康被害や気候変動による災害リスクの増大が、脆弱な層の貧困をさらに深めている。
  • 一方、スリランカにおける「マハウェリ開発計画」などの水資源管理は農業、生計、エネルギー供給の向上に貢献していることを紹介。
  • 持続可能な発展と貧困削減には、気候変動への適応と統合的水資源管理が不可欠であると結論。
Ms. RAMBOLAMANANA Faranirina Sarindra
Ms. RAMBOLAMANANA Faranirina Sarindra

 Ms. RAMBOLAMANANA Faranirina Sarindra(MADAGASCAR)(修士コース学生、マダガスカル公共事業省(Ministry of Public Works))からは、「マダガスカルにおける都市の洪水と衛生に対する固形廃棄物の影響(The effect of solid waste on urban flood and sanitation in Madagascar)」と題し、以下の内容を紹介しました。

  • マダガスカルの都市洪水と衛生問題に対する固形廃棄物の影響を分析。
  • 首都アンタナナリボでは排水路のごみ詰まりが洪水を悪化させ、飲料水汚染やトイレの機能不全、感染症拡大を引き起こしている。
  • 研究ではRRI洪水モデルと排水ネットワークを統合し、ごみによる排水能力低下と浸水被害を定量的に評価した。
  • その結果、橋梁周辺が主要なボトルネックであることを示し、排水インフラ整備、ごみ収集強化、組織間連携、水・衛生分野への重点投資が洪水リスク低減と公衆衛生改善に不可欠であると提言。
小池センター長
小池 俊雄センター長

 フロアからは、スウェイラム水資源・灌漑大臣やペマ・ギャムツォICIMOD事務局長から発表に対してコメントを頂くなど、活発な質疑応答がありました。

 最後に、小池センター長から来訪に対するお礼の言葉を申し上げ、研究紹介セッションは終了しました。

 ICHARMは、世界における防災の主流化を目指し、国内外の高官に対するこのような研究紹介活動を今後も行っていきます。

アッサム州防災庁からの訪問者とICHARM研究員
集合写真(前列左から、栗林ICHARM上席研究員、小池ICHARMセンター長、ラギー・エルエトレビー エジプト・アラブ共和国 駐日特命全権大使、上川陽子 2026国連水会議総理特使/衆議院議員/元外務大臣、ハニー・スウェイラム エジプト・アラブ共和国 水資源・灌漑大臣、アブドゥラ・バララ アラブ首長国連邦 外務副大臣(エネルギー・持続可能性担当)、ペマ・ギャムツォ 国際総合山岳開発センター(ICIMOD)事務局長、藤田土木研究所理事長)