「防災減災連携研究ハブ(JHoP:Japan Hub of Disaster Resilience Partners)」は、2019年に発足した、防災・減災に関わる国内の大学・研究拠点及び実務機関、計20組織をメンバーとするネットワーク型の組織で、統合的なDRR(Disaster Risk reduction:災害リスク軽減)研究を推進しています1)。ICHARMもメンバーとして参画しています。
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| 第2セッションで司会進行を務める栗林上席研究員 |
このJHoPは、日本学術会議土木工学・建築学委員会IRDR分科会での継続的な議論を背景に、防災に関する国際科学プログラム IRDR(Integrated Research on Disaster Risk) の枠組下で海外組織と連携して、国際的な災害リスク統合研究を機動的に推進するための日本拠点として設立されました2)。なお、小池俊雄センター長と栗林大輔上席研究員は、IRDR分科会のもとにあるIRDR 活動推進小委員会のメンバーを務めています。また、このJHoPとIRDR分科会は合同タスクフォースを設置し、防災研究者・実務者が毎月議論するなど、密接なつながりがあります。
これらの背景のもと、2026年8月26日(水)、IRDR分科会とJHoPが主催し、日本学術会議講堂(東京都港区)において、標記シンポジウムがハイブリッド形式で開催されました。本シンポジウムでは、JHoP発足後初めての機会として、参画機関の登壇者が多様な実践を紹介するとともに、日本学術会議から2026年4月10日に発出された提言「壊滅的災害が想定されるメガシティの防災力強化に向けた科学技術イノベーション」3)とJHoP の4つの活動を掛け合わせて議論し、学術と社会をつなぐ防災減災の連携強化を目指しました。
シンポジウムは、臼田裕一郎防災科学技術研究所総合防災情報センター長(日本学術会議連携会員)の司会で進行し、寶馨防災科学研究所理事長(日本学術会議連携会員)による開催趣旨およびJHoPの紹介、田村圭子新潟大学危機管理本部危機管理センター特任教授(日本学術会議第三部会員)による提言の紹介ののち、4つのセッションが行われました4)。栗林上席研究員は、第2セッション「防災情報の発信と流通(第6章)×情報基盤の標準化」の司会進行を務めました。第2セッションでは、以下の方から各組織の紹介を行いました。
発表後のパネルディスカッションでは、提言8「防災情報の最新技術・知見を活用する」、提言9「防災に有効なAIの開発を主導的に進める」に関して議論を行いました。提言8に関しては、単なる「Information(情報)」ではなく行動につながる「Intelligence(インテリジェンス)」とする必要があること、例えば洪水対応ではSIPで開発されたIDR4M(市町村災害対応総合システム)というシステムを用いると6時間の猶予があり、市町村にとっては情報をインテリジェンス化するのに有効といったコメントがありました。また、マスコミは「想定外」といった言葉はセンセーショナルに伝えがちだが、防災意識向上や防災対策を進めるため、着実に指標化して伝えられるべきというコメントもありました。提言9に関しては、AIを防災で活用するには、ブラックボックスと思われるのではなく、防災に関する既存の規則やルールを組み込むなど透明性の高いAIを構築し、首長の判断を支援できるものが望ましいとのコメントがありました。
また、栗林上席研究員は、セッション4「メガシティの防災のための科学技術イノベーション(第8章)×産学官民連携」で、ICHARMの活動紹介を行い、主に、フィリピン・ダバオにおいて国際洪水イニシアティブ(IFI)で取り組む「水のレジリエンスと災害に関するプラットフォーム」、およびOSS-SR(Online Synthesis System for Sustainability and Resilience:知の統合システム)を紹介しました。その後のパネルディスカッションでは、提言13「防災分野の科学技術イノベーションプラットフォームを構築する」、提言14「社会のニーズに基づく防災課題に対応した提言を戦略的・継続的に提供する」に関する議論を行いました。産官学民における「学」の立場からJHoPの主要構成組織である大学等の研究組織は、どのようにあるべきかの議論では、栗林上席研究員は、「学」は様々なリスクコミュニケーションの手段や機会を持っており、「官」と「民(住民)」をつなぐ役割や、「民」の中に直接入り込める役割など多様な役割を担いえることを主張しました。
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(前列左から第1セッションの進行を務めた大原美保教授(東京大学)、田村特任教授、寶理事長、臼田センター長) |
1) JHoPホームページ
(日本語)https://www.bosai.go.jp/jhop/
(英語)https://www.bosai.go.jp/jhop/en/
2) 文部科学省 防災科学技術委員会(第53回)会議資料(開催日 令和3年11月11日) 資料3-5「防災レジリエンス研究の国際的な拠点形成について ~国際機関や日本学術会議と連携した日本のICoE構築と展開」
https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/20211110-mxt_jishin01-000018462_9.pdf
3) 提言「壊滅的災害が想定されるメガシティの防災力強化に向けた科学技術イノベーション」
https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf2/kohyo-26-t399.pdf
4) シンポジウムプログラム(日本学術会議ホームページ)
https://www.scj.go.jp/ja/event/2026/399-s-0826.html